開く

モータを選定する時に役立つ情報

キヤノンプレシジョンの各製品をご利用頂くうえで役立つ技術情報を紹介しています。

磁石の種類で異なる不可逆特性

C型フェライト磁石

焼結ネオジム磁石

磁石は、磁界や温度の影響で磁力が変化します。多くの場合は、元の状態に戻れば磁力も戻りますが、条件によっては磁力が低下する不可逆減磁となることがあります。不可逆減磁が起きにくいような設計仕様にしていますが、磁石の種類や使用条件によっては発生することがあります。

フェライト磁石

磁石の温度特性:磁束密度が負(ー)、保持力が正(+)の温度係数

  • 高温時:磁束密度が下がり、保持力が上がるので減磁は起きない。
  • 低温時:磁束密度が上がり、保持力が下がるので減磁が起きる可能性がある。

ネオジム磁石

磁石の温度特性:磁束密度が負(ー)、保持力が負(ー)の温度係数

  • 高温時:磁束密度が下がり、保持力も下がるので減磁が起きる可能性がある。
  • 低温時:磁束密度が上がり、保持力も上がるので減磁は起きない。
  • +100℃以上で使用する場合はジスプロシウムを追加することで保持力を高め、不可逆減磁を起きにくくする…高価格。

サマリウム・コバルト磁石

温度特性に優れ、温度による減磁の心配はないが、高価格。

アルニコ磁石

もっとも温度特性に優れた磁石であるが、流通量は非常に少ない。

上記に関連する製品情報やご質問、お問い合わせ

高速回転で制御する用途にどうぞ

有鉄芯(DN16)コギング

コアレス(LN15)コギング

心臓部のコアレス巻線は高出力で生産性の高い菱形方式を採用しており、コンパクトなサイズ(外形×全長)で高出力(高トルク・高回転数)を実現しています。 また、コギングが小さいためコギング起因による振動がなく制御性に優れています。

原理

同出力の他モータ(有鉄芯)と比較して、低慣性モーメント/低損失(鉄損がない)であるため起動停止での加速度が高く、高速回転領域で高効率となる設計となっています。

上記に関連する製品情報やご質問、お問い合わせ

瞬時回転切替に有利

コアレス巻線(菱形巻線)

コアレス巻線(カーリング)

カメラや産業機器の分野においては、高い回転数とそれに至る加速度が求められます。 さらに、起動停止や正転/逆転を繰り返すモードでは、長寿命や低ノイズが必要となります。

コアレスモータで解決

コアレスモータはモータサイズ(体積)に対して高出力で、コイルに鉄心を使用していないので慣性モーメントが小さいという特徴があります。さらに、インダクタンスが小さい事から、瞬時回転切替時の大きな電流を必要とする時でも整流(電流の相切替)の火花ノイズが小さく、寿命と電気ノイズに有利となっていることから、上記のような使用用途に適しています。

技術

これらの特徴を実現するうえで必要となる技術は巻線加工技術です。当社では巻線(ロータ)の製造工程を自動化して生産性を高めてます。

  • コアレス巻線…高出力/高効率を実現する菱形巻方式

上記に関連する製品情報やご質問、お問い合わせ

高占積を実現した巻線技術

ストレートコア

カーリングコア

小型・高出力・高効率に求められる巻線の技術要素として「高磁束量」と「低抵抗値」があります。

  1. 高磁束量…「巻数(ターン数)」が多いほど良い
  2. 低抵抗値…「巻線径」が太いほど良い

太い巻線をできるだけ多く巻けるのが良いこととなりますが、インナーロータ方式ブラシレスモータはコアの内側に巻線を配置する必要があり、作業がとても難しく限界があります。

技術

そこで、当社では“ストレート状のコアに巻線を施した後でリング状に丸める”方法でこの課題を解決しました。同様の技術は知的財産権利(パテント)があるため、その権利を侵害しない方法で且つ生産性に優れた巻線方法を考案しました。これにより、太い巻線を整列に並べることが可能となり、小型・高出力・高効率のモータ特性を実現することができました。

上記に関連する製品情報やご質問、お問い合わせ

応答性と生産性の両立

マグネット成形システム

トランスファーシステム

小型・高出力・高効率を求められるモータですが、用途によって優れた「応答性能」を求められます。 応答性能を良くする(加速度を高くする)ための要素として「高トルク」と「低慣性モーメント」があります。これらの要素を実現するには以下の技術が必要になります。

  1. 高磁束密度の磁石を生産性の高い方法で製造
  2. 磁束を高めるための収磁ヨークを生産性の高い方法で製造

技術

現在、最も高磁束が得られる磁石はネオジム磁石です。なかでも、焼結のネオジム磁石は高い磁束密度性能を有していますが、焼結は薄く加工することが出来ないため低コストで製造することは困難です。 当社では、最適化性能と生産性の両立をめざし、インジェクション方式による収磁ヨークとのインサート一体成形加工でネオジム磁石の内製化を実現しました。 また、収磁ヨークは、軽量化と必要剛性が得られるように、カップ状のプレス品を採用しており、こちらもプレス絞り加工を内製化しています。 これにより、小型・高出力・高効率で応答性能に優れたモータを生産性の高い製造方法でご提供することが可能となりました。

上記に関連する製品情報やご質問、お問い合わせ

カーボンブラシの機能と特徴

有鉄芯(EN42)のカーボン

有鉄芯(FN38)のカーボン

カーボンブラシは、主に金属粉と黒鉛で構成されており、モータの寿命をはじめ騒音/電気ノイズにも影響を与えます。重要なパラメーターとして、「電流密度」「摩擦係数」「耐熱性」「耐薬品性」などがあり、モータ設計仕様と上記パラメーターの最適選定を行っています。

太い巻線をできるだけ多く巻けるのが良いこととなりますが、インナーロータ方式ブラシレスモータはコアの内側に巻線を施す必要があり、作業がとても難しく限界があります。

被膜

整流子の表面にはカーボンブラシとの摺動により、「金属酸化被膜」と「黒鉛潤滑被膜」が生成されます。この被膜が重要要素であり、被膜が安定していることでモータ性能を長期間維持することが出来ます。

摩耗

カーボンブラシの摩耗は、通電による火花による電気摩耗と整流子との摺動による機械摩耗に分類されます。電気摩耗と機械摩耗は相互作用の関係にあることから単純に影響度合いを表すことは出来ませんが、接触圧力などの調整で電気摩耗が機械摩耗を一定量多くなるように設定しています。

材質

カーボン(黒鉛)は「導電性」「潤滑性」「耐熱性」「耐薬品性」に優れた炭素を熱処理して使用しています。金属含有率が高いほど抵抗率が低く許容電流密度が高くなり、求められる性能に応じて配合比率を変えています。

  • 銅カーボン:抵抗率/耐熱性に優れ、高電圧や大電流仕様の大径モータに適す。
  • 銀カーボン:銅と比較して電気伝導率に優れ、低電圧仕様の小径モータに適す。

上記に関連する製品情報やご質問、お問い合わせ

滑らかで安定した回転を得るには

有鉄芯(EN22)のロータ

有鉄芯(FN38)のロータ

用途によって、振動(騒音)の低減や低回転数での回転安定性が要求されることがあります。 ブラシレスモータでは制御技術で改善効果が期待できますが、ブラシモータにおける効果は限定的となります。そこで、それらの用途に適したモータの設定が必要となります。

技術

  1. 回転における整流回数を増やすための多スロット化
    • DCブラシモータの基本形は3スロット:整流数 6回/1回転
    • 5スロットタイプ(EN22/EN35/EN42):整流数 10回/1回転
    • 7スロットタイプ(FN30/FN38/HN54):整流数 14回/1回転
  2. 回転における整流回数を増やすための磁気回路設計
    • コアスキューと重ね巻線(FN38/FN30SS)
    • →トルク変動(トルクリップル)が少なく、コギングが小さくなり滑らかな回転が得られる
    • 磁束密度分布の最適化
    • →磁束密度分布が緩やかになるのでコギングが小さくなり滑らかな回転が得られる

1、2の技術によって小型ブラシモータが不得意としていた上述の課題を解決しています。

上記に関連する製品情報やご質問、お問い合わせ